稚内市とロシア・サハリン州コルサコフ市を結ぶ日ロ定期フェリー航路の最終便が18日、稚内に帰港する。ハートランドフェリー(札幌市)が運航してきた17年の歴史に幕を閉じる。稚内市は来年度から引き継ぐ新会社の設立を模索、最終便までに詳細を詰める方針を6月の市議会で表明していたが、採算性の壁を克服できず難航している。
同航路は戦前から就航し、終戦に伴い50年間休止。ロシア船による再開を経て、1999年からはハートランドフェリーが日本船を運航する。同社は乗客や貨物の減少で採算がとれないとして今年度限りでの撤退を決めている。
同社の蔦井孝典社長は「17年間続けてこられたのは利用者、支援者のおかげで、感謝の気持ちでいっぱい」と話し、州政府やコルサコフ市、港湾の関係者にあいさつ回りをするため、16日の稚内港からの出発便に乗り込んだ。
稚内市日ロ定期航路対策部の日向寺和裕部長も乗船している。「サハリンからの一時帰国者も利用しており、地域と地域を結ぶ重要な役割を果たしている」と強調。「運航の継続を前提に市が動いていることをサハリン側に伝え、顔つなぎをしてきたい」としていた。
稚内港国際旅客ターミナルで16日に見送った工藤広市長は「ビジネスだけでなく、歴史や思いを背負っている航路なので何としても残したい」と語り、改めて運航の引き継ぎに意欲を示した。
ハートランドフェリーの2015年度の実績見通しは旅客4400人弱、貨物200トン弱。99年からの累計は旅客約7万6500人、貨物約4万1800トン。