京都大学野生動物研究センターの平田聡教授らは、チンパンジーなどの類人猿が一度見た印象的な出来事を1日たっても覚えていることを突き止めた。従来は1日以上の長期にわたって記憶する能力を持つのは人間だけで、他の動物は経験をくり返さないと記憶できないと考えられてきた。
京大熊本サンクチュアリにすむチンパンジーとボノボのそれぞれ6頭について、ゴリラの着ぐるみを着た人が左右の扉の片方から急に現れて部屋にいる人間を襲う映像を見せ、1日後に同じものを見せた。その際に視線の動きを追う特殊な装置で記録したところ、着ぐるみのゴリラが出てくる方の扉を前もって見る時間が長くなった。
着ぐるみのゴリラに襲われている人間が2種類ある道具の片方を手にとって反撃する映像も見せた。このときも2回目は人間が反撃に使った道具が置いている場所をあらかじめ見る時間が長くなった。
これらの実験で、類人猿にも人間に近い長期記憶があることを証明できたという。平田教授は「他者の心を読むことができるかなども調べていきたい」と話している。