【カイロ=押野真也】10月31日にエジプト東部でロシア機が墜落した原因を巡り、エジプトやロシアなど、関係各国がテロ説に傾き始めている。ロイター通信は8日、エジプトの事故調査委員会の調査官が機体の爆発をほぼ認めたと報じた。
この調査官によると、機内の音声などを記録するブラックボックスに残された「ノイズ(雑音)」について「9割の確率で爆発音」だと述べたという。委員会は公式にはこうした報道を否定しているが、委員会内部でテロとの見方が強まっている可能性がある。
9日のタス通信によると、ロシアのメドベージェフ首相は同国紙ロシスカヤ・ガゼータとのインタビューの中で「(ロシア機墜落は)テロの可能性がある」と初めて認めた。
エジプトの調査委員会にはフランスの専門家も参加している。仏メディアは関係者の話として、コックピットの音声などを記録するブラックボックスを分析した結果、機内に仕掛けられた爆弾が爆発した可能性が高いと報じている。
エジプトでは、空港の保安体制が厳格ではなく、事故前からテロを懸念する声が出ていた。機内に持ち込む荷物の検査も緩く、本来は持ち込みが禁じられる飲料などを持ち込むことができた。米英などもこうした事情は把握しており、事故を受けてエジプト当局に対し、保安体制を厳格にするよう求めている。