花王(4452)の沢田道隆社長は25日、都内で開いた経営説明会で競争環境が激化している化粧品事業について「自社ブランドのとがり方が甘い。大改革を進める」と話し、製品開発やブランド戦略にテコ入れする方針を示した。また、カネボウ化粧品と販社を統合するなどして販売力を高め、化粧品事業での売上高に占めるEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の比率を現状の3~7%から10%以上に引き上げる方針を示した。
花王は11月に化粧品ブランド「ソフィーナ」の新シリーズ「ソフィーナiP」を投入。美容液や美容ドリンクなどをそろえた。沢田社長は「自社の持つ美容や健康などの皮膚科学のノウハウを生かしていく」とし、機能性などで他社製品との差異化を図るとした。カネボウ化粧品についても「来年から同様の改革を進める」とし、製品の刷新などを進める考えだ。
これまで別々だった花王、カネボウ化粧品の販社について、16年1月から新たに設立する持ち株会社の傘下に入れて統合し、販売戦略などで相乗効果を高める計画だ。「ソフィーナ」の売上高EBITDA率は3~4%、カネボウ化粧品は6~7%程度とされるが一連のテコ入れで「2ケタ台に持って行きたい」(沢田社長)とした。
花王の事業全体では日用品事業の国内シェアの上昇や好調な海外事業が貢献し、15年12月期の純利益は910億円と過去最高だった前期の796億円を大幅に更新する見通し。沢田社長は「市場環境は夏場以降よくなっている」とし、販売が順調であることを強調した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕