東京都の豊洲市場をめぐる都議会の調査特別委員会(百条委員会)が11日に証人喚問を始める。過去の経緯を検証する構えだが、自民、公明は当初から都議会で築地市場からの移転を主張し、反対だった民進(旧民主)も賛成に転じた経緯がある。どう臨むのか。議会の姿勢も問われている。
特集:豊洲市場
「移転予定地は豊洲以外に見いだせない」。市場用地で環境基準の最大4万3千倍のベンゼンなどが検出された2008年、自民都議は本会議でそう訴えた。自民は一貫して移転を推進。土壌汚染対策が検討された同年以降も「調査データがすべて公表され、新市場予定地に潜むリスクは完全に把握できた」(09年、経済港湾委員会)「都の土壌汚染対策は、法をはるかに上回る万全の対策」(10年、経済港湾委)などと評価した。
百条委設置にも慎重だったが、7月に都議選を控えて会派内から設置を求める声が上がり、賛成に転じた。会派の高木啓幹事長は「豊洲と築地の市場としての適正性を調査することになる。おのずと(豊洲が良いとの)結論が導き出される」。百条委委員の自民都議は「追及より、証人に都民へ疑問点を説明してもらう場にしたい」と話す。
かつて自民と歩調を合わせてきた公明は、都の汚染対策が検討されていた09年に会派議員が「議論はし尽くされている。新たに確認しなければいけないことは見当たらない」と断言。移転に慎重な民主(当時)や反対する共産を「いたずらに都民の不安をあおり、本質を欠いた議論に終始している。対策は専門家の判断に委ねるべきだ」と批判もした。
都が11年、地権者の東京ガスに求める汚染対策費を当時見込まれた総額の13%(78億円)とすると、公明は「東京ガスにとっても極めて大きな決断。都と東京ガスの双方において納得の得られる方法だった」(経済港湾委)と評価した。対策費の負担割合が適正だったかは百条委の主な論点だ。
東村邦浩幹事長は「当時は安全性に主眼を置いていた。(今になって)土地取引や(東ガスに汚染対策の追加負担を求める)瑕疵(かし)担保責任を免責した詳しい経緯など、新たな疑問点が出てきた。解明の必要がある」と、百条委設置に賛成した理由を説明する。自民とは異なり、「用地取得に至る不透明な部分を調べる」としている。
「強引な移転に反対」を訴えて…