東芝(6502)は27日、米原発子会社ウエスチングハウス(WH)の過去の減損損失などに関する説明会を東京都港区内の本社で開いた。WH単体で減損を計上しながら、東芝連結では減損損失の計上を見送った背景について東芝の志賀重範副社長は「原子力事業全体としてはビジネスが順調に進んでいる。WH全体の時価も簿価を上回っている」と話した。
志賀副社長は06年度から15年度上期までのWHを含む東芝全体の原子力事業について、事業基盤の燃料・サービス分野の事業のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の累計は4133億円となると堅調な業績を強調。原子力プラント事業での赤字などが重荷になっているものの、WHが単体で減損を計上した13年度について東芝が実施したWHの減損テストでは時価(54億6700万ドル)が簿価(54億2800万ドル)を上回っているとした。
東芝は14年度からWHを含む原子力事業を一体運営しているが、14年度の減損テストでも事業全体の価値は毀損されていないとした。志賀副社長は「原発の特性上、15年間の長期のビジネスプランで減損テストを実施した」と説明。今後「中国や米国でプラント建設が進んでいることや廃炉などの新ビジネスなども見込んでいる。ビジネスは順調に拡大する」とした。
同時に11年に買収したスイスのスマートメーターメーカー、ランディス・ギア社などの海外事業の減損テストの状況も説明。ランディス・ギア社については欧米での市場拡大に加え、アジアでの廉価版の製品販売などの好調さを説明して「公正価値は帳簿価格を上回っており資産の毀損はない」とした。〔日経QUICKニュース(NQN)〕