2016年3月開業の北海道新幹線が新函館北斗駅から東京駅まで最短4時間2分で結ぶことが正式に決まったことを受け、道内では落胆の声が出ている。一方、安全運行を最優先する北海道旅客鉄道(JR北海道)の姿勢に理解を示す意見も広がった。JR北海道は開業後も所要時間短縮の検討を続ける。空路に対する優位性が高まる目安とされる3時間台運行の早期実現に向けた期待はなお高い。
北海道新幹線は東京―新函館北斗を4時間9分で運行する計画だったが、地元地域からは3時間台運行を要請する意見が強まっていた。3日、東京都内で与党の青函共用走行区間に関する勉強会で、JR北海道の西野史尚副社長が「発生しうる徐行要素を洗い出し、4時間2分という判断になった。ただ、どのような時間短縮が可能か開業後も引き続き追求していきたい」と説明した。
地元からは「運行時間の短縮を今後も要望していく」(函館商工会議所の永沢大樹・新幹線函館開業対策室長)、「北斗市からのビジネス利用では東京まで4時間で行けるので利便性は高まるだろう」(北斗市商工会の宮崎高志会長)といった声が上がった。
世界最長の海底トンネル・青函トンネルを含む貨物列車との共用走行区間では、新幹線は速度を落として安全を確保する必要がある。新函館北斗駅が建つ北斗市の高谷寿峰市長は「JR北海道が少しでも時間短縮に努力したことは評価したい。国の方針にあるように18年春までには必ず3時間台の走行を実現してほしい」とコメント。工藤寿樹・函館市長も「残念な思いはあるが、まずは安全性を最優先した決定だと受け止める」とした。
JR北海道の島田修社長は、北海道新幹線の利用客を1日最低5千人を目指すとの考えを示している。乗車率は3割未満と低水準となるため、利用の大半を占めると予想される旅行客の利用喚起策がカギとなる。JTB北海道の高田悟函館支店長は「(運行計画の)次回の改正で4時間を下回る運行時間にしてほしい」とJR北海道へ要望を述べた。