一般的に、夜更かしをすると睡眠時間が短くなり、睡眠の質も悪くなるため健康に害を及ぼすと知られているが、睡眠時間が長すぎると、逆に夜更かしより健康に悪いことを示す証拠が近年増えている。
欧州心臓病学会(ESC)のある研究によると、毎晩6-8時間寝ている人が最も健康で、睡眠時間がそれより長くても、短くても体に悪影響を及ぼす。研究の対象となったのは心血管疾患既往歴がない成人約100万人。調査員はそれらの人に対して、平均9.3年の追跡調査を行った。すると、毎晩6-8時間寝ている人と比べると、睡眠時間が6時間未満の人が冠状動脈心臓病や脳卒中を罹患したり、それが原因で亡くなったりするリスクは11%高かった。さらに、睡眠時間が8時間以上となると、リスクは33%も高かった。
眠れないも起きられないも睡眠障害
睡眠時間が7-8時間以上の場合、認知症と関係のあるタンパク質の蓄積はほとんど見られないものの、6-7時間になると、蓄積量が明らかに増え、6時間以下になると、その量は数倍に増える。
中国睡眠研究会の理事長を務める北京大学医学部睡眠医学センターの韓芳主任は、「科学研究では、睡眠不足になると、記憶力が明らかに低下することが分かっている。神経細胞の栄養不良、萎縮、ひいてはアポトーシスの原因となり、それらは、脳・心血管疾患と直接関係がある。先進国の衛生経済学研究統計も、睡眠障害は交通事故や生産安全事故などの原因となり、重大な経済的損失をもたらすことを示している」と説明する。
海軍軍医大学、上海長征病院・神経内科の趙忠新教授は、「睡眠時間が長すぎても、記憶に悪影響を及ぼす」と指摘する。約1万人を対象にしたデータを分析すると、1日の睡眠時間が9時間以上の人は記憶力低下が起きやすいことが分かったという。また、ある研究は、昼間の眠気のテストのポイントが高かった70歳以上の高齢者は、脳内の認知症と関係のあるタンパク質が明らかに多かった。つまり、眠気が強いほど、認知症になりやすいことを示している。
このように、夜更かしも健康に害を及ぼすものの、寝すぎも同じく健康に悪影響を及ぼすことがわかる。そのため1日の睡眠時間は7-8時間が最適で、夜11時までに就寝するのが良い。
研究では、睡眠時間が長すぎると、がんのリスクも高くなるほか、糖尿病や不整脈などになりやすく、血圧にも影響し、神経系の機能の障害を引き起こし、記憶力が低下し、呼吸器系疾患や消化器官系疾患にもなりやすいことが分かっている。
涼しい寝室のメリット7つ
寝室の室温も睡眠の質だけでなく、健康にも影響を及ぼす。オーストラリア・シドニー大学の研究者は、室温が低め(17度)の寝室で寝た時の睡眠の質が最も良いことを発見した。
涼しめの寝室にはたくさんのメリットがある。例えば、睡眠が深くなり、肌が若くなり、体重の減少にもつながる。また、妊婦は快適に感じ、炎症や痛みを軽減し、ウイルスなどの感染リスクが低下し、男性の性機能が向上する。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年1月29日