日銀は17~18日に開いた金融政策決定会合で、量的・質的金融緩和の補完措置の導入を決めた。「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業に対するサポート」として株価指数連動型上場投資信託(ETF)について年間3兆円の買い入れに加え、新たに3000億円の買い入れ枠の新設も賛成6反対3で決めた。
買い入れる長期国債の平均残存期間を7~10年程度から7~12年程度に長期化することも賛成6反対3で決めた。不動産投資信託(REIT)の銘柄ごとの買い入れ限度額も発行残高の10%とし、従来の5%から引き上げる。決定は賛成6反対3。いずれも、反対は佐藤健裕審議委員、木内登英審議委員、石田浩二委員だった。
企業への支援策としては2016年4月から開始するETF枠の拡充に加え、成長基盤強化支援資金供給の投融資要件に「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」を追加し、手続きも簡素化する。貸出を増やした銀行に低利融資する貸出支援基金についても受付期間を1年延長する。成長基盤強化支援資金供給と貸出支援基金期間の延長は全員一致で決めた。
量的・質的金融緩和を円滑に進めるため、平均残存期間の長期化のほか、日銀が金融機関から受け入れる担保に外貨建ての貸付債権や住宅ローン債権を認めることも全員一致で決めた。
日銀は量的・質的金融緩和について「所期の効果を発揮している」としつつ、「国債市場の動向や金融機関の保有資産の状況などを踏まえ、より円滑にイールドカーブ全体の金利低下を促していく」ため、補完措置の導入を決めた。設備・人材投資に積極的に取り組む企業を後押しし、デフレマインドのさらなる転換を促すとも説明している。
長期国債の保有残高を年間80兆円に相当するペースで増やす金融市場調節方針は、賛成8反対1の賛成多数で維持を決めた。マネタリーベース(資金供給量)を年80兆円に相当するペースで増やす金融市場調節を続ける。反対したのは木内登英審議委員の1人。
15時30分から黒田東彦総裁が記者会見し、会合の決定内容や金融市場の動向について説明する。〔日経QUICKニュース(NQN)〕