【ソウル=加藤宏一】従軍慰安婦問題を論じた著書「帝国の慰安婦」で元慰安婦の名誉を傷つけたとして在宅起訴された朴裕河(パク・ユハ)世宗大学教授の初公判が20日、ソウル東部地裁で開かれた。検察側は「朴氏が同書で旧日本軍と元慰安婦が同志的な関係にあったなどの虚偽事実を示して名誉を傷つけた」と指摘したのに対して、朴氏側は名誉毀損の事実を否定し、無罪を主張した。
朴氏の弁護人は本と元慰安婦の名誉との関連性を否定し、出版した理由について「長く解決できなかった慰安婦問題を新しい視点から解決策を模索しようという意図だった」と指摘。また「慰安婦という名称は集団を示し、個々人の名誉毀損に当たらない」と述べた。
朴氏は同日、一般国民が陪審員として裁判に参加できる「国民参与裁判制度」を申請した。地裁は実施の是非を後日判断する。朴氏はまた、慰安婦問題は国民の関心が高い一方で、同書に対する間違った理解があるとして、著書の内容を無料で配布する意思も示した。