小規模な噴火が確認された阿蘇山の火口=16日午前10時30分、朝日新聞社ヘリから、高橋雄大撮影
震源に近い阿蘇山で16日午前8時半ごろ、小規模な噴火が起きた。専門家は今後の動きへの注意を呼びかける。
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阿蘇山は3月4日にも噴火するなど火山活動が盛んで、気象庁が常時観測する全国50火山の一つ。気象庁の担当者は「地震後も、これまでの状況と特段の変化はない」と説明。菅義偉官房長官は16日昼の会見で、噴火と地震について「因果関係はないだろう」としたうえで、「今後とも注意深く監視する」と答えた。
地震が火山に影響を与えたとみられている例はあり、日本では1707年に起きた宝永地震(M8・6)の直後に富士山が噴火した。九州大地震火山観測研究センターの松島健・准教授は「マグマはたくさんの火山性ガスを含む。近くで大きな地震があると、マグマだまりが揺さぶられ、ビールが入った瓶を振った時のように噴き出す可能性がある」と指摘する。
地震が起きた地域の近くには阿蘇山のほか、大分県の九重山、鶴見岳・伽藍(がらん)岳、長崎県の雲仙岳などの火山がある。火山噴火予知連絡会長の藤井敏嗣・東京大名誉教授は「周辺で地震活動が活発化しているので、将来的に噴火が起きる可能性は否定できない。火山をきちんと観測する必要がある」と話す。