秋下雅弘・東大大学院教授(奥)からヒアリングする天皇退位に関する有識者会議=首相官邸、北村玲奈撮影
天皇陛下の退位をめぐる政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長=今井敬・経団連名誉会長)は22日、首相官邸で約2カ月ぶりに会合を開き、退位を可能とする特例法案に盛り込む具体的な内容の検討に着手した。この日は、退位後の称号や待遇などについて専門家ヒアリングを行った。
ヒアリングの対象者は、秋下(あきした)雅弘・東大大学院教授(老年医学)、本郷恵子・東大史料編纂(へんさん)所教授(日本中世史)、君塚直隆・関東学院大教授(英国政治外交史)、新田均・皇学館大現代日本社会学部長(神道学)。1人約30分ずつ、非公開で意見を聴いた。
秋下氏からは、高齢化社会における退位のあり方を検討するために意見を聴いた。秋下氏は「加齢に伴う様々な機能の変化はかなり個人差があり、多様だ」と説明した。
本郷氏は、退位後の称号は太上天皇の略称である「上皇」、敬称は「陛下」とするのが望ましいとの考えを示した。退位後の待遇については「職員や予算などの規模縮小はあり得るが、格下げとみられかねない措置はするべきでない」と主張。葬儀や陵も、天皇と同様が適切だとした。
皇太子さまが天皇に即位した後、皇位継承順位が1位となる秋篠宮さまの称号は「皇太弟」とし、現行の皇太子さまの待遇と同等とするのが望ましいとした。
君塚氏は、称号は正式には「太上天皇」、通常は「上皇」を使うよう提案。また、「退位後も国際親善活動は可能な限り続けていただきたい」と要望。秋篠宮さまについては「『皇太弟』では海外の受け取り方、翻訳が難しい。『皇太子』が普通だ」とした。
新田氏は、称号は「太上天皇」「皇太后」を使用すべきだと主張。葬儀は「大喪の礼」、墓所は「陵」とするよう提案した。秋篠宮さまは、特例法の規定で「皇太子」とすることが可能だとの見解を示した。
座長代理の御厨貴・東大名誉教授は会合終了後の記者会見で、「一定の方向性を整理し、(最終)提言をまとめたい」と述べた。同会議は4月21日にも最終提言を取りまとめる方向だ。