16日未明に熊本県で発生した地震(マグニチュード7・3)で、本震の揺れが続いている最中に、大分県付近で規模の小さい地震が誘発されて発生していたことが、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の解析でわかった。本震だけなら震度4程度だった揺れが、誘発地震が重なったために震度6程度に強まったという。24日、防災科研の緊急報告会で発表した。
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防災科研の観測網では、16日に大分県の由布市で震度6程度の揺れを観測した。波形を詳しく調べると、本震の地震波が観測され始めた約16秒後に、より大きな揺れがみられた。本震の揺れが続いている最中に、観測点のごく近くで小規模な地震が発生していたことを示しているという。同じような波形は大分県九重町でも観測された。
一般的に地震の揺れは、震源から離れるほど小さくなるが、大分県で震度が大きくなった理由が説明できそうだとしている。
防災科研の青井真・地震津波火山ネットワークセンター長は「今回の地震は火山地帯で誘発地震が多いことが特徴だが、本震の揺れが続いている最中から発生していた。めずらしい観測例だ」と話している。(瀬川茂子)