展示作品を見つめる吉原さち丸さん=愛知県犬山市犬山東古券の「ぎゃらりぃ木屋」
約30年前、自らの共働きの苦労話などを4コマ漫画に描いた愛知県犬山市の男性が、同市で作品展を開いている。開くきっかけは、「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログ。「30年前から改善されない問題。今こそ見て欲しい」と話している。
特集:待機児童問題
午後5時。ワイシャツを脱いでスーパーマンに変身した父親が、会社の窓から飛んでいく。その様子を見た同僚が「ああでないと保育園と学童保育所に間に合わないんですって」とつぶやく――。
現在、溶接工として市内の鉄工所に勤める吉原勝則さん(62)=ペンネーム・さち丸=が30年近く前、描いた4コマ漫画の一つだ。商社で働く妻と共稼ぎで一男一女を育て、1987年から7年間、その慌ただしい日常を漫画で描き残した。
当時の保育園の園内通信に寄稿した作品が編集者の目に留まり、「けっさく子育て人」として89年に出版までされた。無認可保育所「ベビーホテル」の劣悪な環境、保育の予算を削る国の政策への風刺もした。
今は6人の孫のいる「おじいちゃん」。だが、今年、保育園に入れずに、ブログ「日本死ね!!!」の切羽詰まった親の訴えに、再び筆を執った。「30年経って同じ問題が叫ばれている」