四国電力が今夏の再稼働を目指している伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、愛媛県民12人が31日、運転差し止めを求める仮処分を松山地裁に申し立てた。住民側弁護団によると、決定が出るのは年明け以降になる見通し。伊方3号機の運転差し止め仮処分申請は、3月の広島地裁に続き2例目で、7月中に大分地裁でも予定されている。
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住民側は地元の伊方町民や松山市民らで、一部は2011年12月以降に松山地裁へ提訴した伊方1~3号機の運転差し止め訴訟の原告団メンバー。
申立書では、伊方原発付近を通る国内最大規模の活断層「中央構造線断層帯」が、熊本地震を受けて「大地震を想定しなければならない段階に至っている」と指摘。住民の被曝(ひばく)や環境汚染を引き起こす過酷事故の危険性と緊急性が高まっていると主張している。
四電広報室は「裁判所にご理解いただけるよう適切に主張してまいりたい」とのコメントを出した。
伊方3号機については、県と伊方町が昨秋に再稼働に同意。新規制基準に基づく原子力規制委員会の審査も終了し、現在は設備の使用前検査が進む。順調に進めば、四電はウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル発電」により、7月下旬にも再稼働させる。(宮田裕介)