東京電力福島第一原発事故で群馬県内に避難した住民らによる訴訟で、国や東電の責任を認めた17日の前橋地裁判決が、原告の子ども5人について避難先の学校などで嫌がらせやいじめがあり、精神的苦痛を受けたと認定していたことがわかった。震災当時、18歳未満だった原告51人について朝日新聞が調べた。5人のうち2人については国と東電に賠償を命じていた。
判決は、主に原告の陳述に基づき、男女5人が小学生や中学生の頃、嫌がらせなどを受けたと認定した。
判決によると、福島県から群馬県に自主避難した女児は、小学生の頃、祭りに誘われた当日、同級生から「誘ってないよ。クラス全員、誰も一緒に行かないよ。そう決めてたから」と言われた。別の日には「気持ち悪い。近づくな。吐き気がする」と書かれたメモをかばんに入れられた。また、群馬県から福島県に戻った男子生徒は「戻ってきたのか。逃げて行ったんだろ」と言われ、別の男児は「福島君」と呼ばれていた。
判決は5人について、避難先などでの嫌がらせやいじめに避難状況なども加味して、精神的苦痛を受けたと認めた。5人のうち3人の慰謝料は東電がすでに支払った賠償金を超えないとして、請求が棄却された。
5人のうち、2人は政府の避難指示区域からの避難者で、旧緊急時避難準備区域からが1人、自主避難者が2人だった。
訴訟では、前橋地裁が東電と国に対して、原告137人のうち62人に計3855万円を支払うよう命じた。(三浦淳、角詠之)