子猫が入れられていたとみられる段ボール箱=宇都宮動物園のフェイスブックから
「もうやめて朝から残念です」「今日も保健所へ行くことに」――。宇都宮動物園(栃木県)の公式フェイスブック(FB)に載った書き込みと段ボール箱の写真が、ネット上で論争を巻き起こしている。動物園によると、箱の中には子猫がいた。この捨て猫は幸運にも引き取り手が見つかったが、動物園側は今回の件をきっかけに捨て猫や捨て犬が増えることを危惧している。
発端は7日朝。動物園前に置かれた段ボール箱から、子猫の鳴き声が漏れているのをスタッフが見つけた。「この箱の中身、想像できますか。他の動物を守るためにはここでは保護できません」とFBに書き込んだ。
すると、「捨てるなら飼わないでほしい」「本当に身勝手」「動物園は飼えなくなった動物を捨てる場所ではない」といったコメントが相次いだ。
一方で「保健所に連れていくなら、殺処分されてしまうんじゃないんですか」「動物園の人なのに、保健所に行くって……」「箱を開けて、引き取る方の募集をするべきです」と、動物園への疑問や批判もあり、投稿から4日間で約700件の反応があった。
宇都宮動物園によると、10日までに苦情の電話はなく、「引き取ってもいいですよ」というメールが1件だけだったが、動物園側の不安はぬぐい去れたわけではない。
これまでも同じように子猫や子犬が捨てられていたことがある。2014年には雄の捨て猫「さんた」が「園長」に就任した例外はあるが、通常は飼育する動物への感染を防ぐため保健所に届けることになる。「飼えなくなったが、どこに持って行ったらいいか」という問い合わせの電話も少なくないという。
荒井賢治園長は「ペットを飼う場合は小さなうちに不妊・去勢手術をして頭数を増やさず、一生面倒を見ることが本当の愛情ではないでしょうか」と話している。(佐藤太郎)