「爆買い」に陰りがでている
日本を訪れる外国人客の「爆買い」に変調の兆しが出ている。4~6月の1人あたりの消費額は15万9930円で、前年同期より9・9%減った。円高と中国政府の関税引き上げで、訪日客の3割近くを占める中国人が、値段の高い家電などを敬遠し始めている。
観光庁が20日に発表した。1人あたり消費額は、1~3月(前年同期比5・4%減)に続き2四半期連続で前年割れだった。前年からの落ちこみは、尖閣諸島問題で日中関係が冷えこんだ2012年10~12月(5・6%減)を上回る水準だ。政府は20年までに「1人あたり20万円」に増やす目標を掲げるが、先行きは不透明だ。
なかでも中国からの訪日客はこの期間、1人あたりの消費額を2割以上減らした。円が元に対し前年より15%超高い水準だったのに加え、中国政府は4月から、海外で買った商品に課す関税を上げた。30%から60%になった高級腕時計や、20%から30%になった家電の売れゆきが鈍く、「転売目的で大量に買う例がなくなった」(東京の百貨店)との声もある。ただ、4~6月の訪日客の消費額合計は7・2%増の9533億円で、四半期では過去2番目の高水準だ。
一方、訪日客数そのものは伸びており、1~6月の合計は28・2%増の1171万人。初の年間2千万人超えはほぼ確実だ。田村明比古長官は「為替の影響を注視したい」と述べ、円高の進展で消費の伸びが鈍ることに懸念を示した。(奥田貫)