火星に建設された氷製の居住施設の断面図。中心部の居住施設は、ドーム形の氷壁で二重に覆われている。壁の材料となる氷は地下から採取する(CloudsAO/SEArch提供)
米航空宇宙局(NASA)が昨年実施した2030年代に火星に建設する居住施設の設計コンペで、最優秀賞に選ばれた日本人建築家たちの作品が日本で初公開される。東京・六本木の森美術館で30日から始まる「宇宙と芸術展」で、コンペに提出した模型や動画が展示される。
火星に氷の家建つかも コンペで日本人建築家が最優秀賞
公開されるのは、ニューヨーク在住の建築家、曽野正之さん(45)たちのチーム「CloudsAO(クラウズアオ)」と仲間の建築家グループ「SEArch(サーチ)」が、3Dプリンターで作製した樹脂製模型(縮尺75分の1)。
NASAのコンペでは、宇宙飛行士4人が1年間、火星に滞在することを想定。火星の地下に大量にあるとされる氷を遠隔操作で切り出して壁を築き、巻き貝の殻のような形の建物を作る。火星の強い放射線や極寒の外気から人体を守るように設計されている。実際に火星用住居として採用されるには、NASAが今後行う予定の技術審査などに合格する必要がある。
「宇宙と芸術展」は、来年1月9日まで。宇宙に関する現代アートなど約200点が展示される。(ワシントン=小林哲)