国立科学博物館(東京)に展示されているアファール猿人ルーシーの復元骨格と復元模型=国立科学博物館提供
「ルーシー」の愛称で呼ばれる約318万年前のアファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)の化石人骨調査で、ルーシーは、木から落ちて死亡した可能性があることがわかった。米テキサス大やエチオピア・アディスアベバ大のチームが30日、英科学誌ネイチャーで発表する。
アファール猿人は多様な猿人の一つで直立二足歩行をし、原人、旧人への進化を経て今の人類につながる。ルーシーは、エチオピアで1974年に見つかった成人女性の化石人骨で、骨格の4割が残る。
ルーシーの化石をCTで調べると、右上腕骨が通常では見られない、鋭い折れ方をしていた。チームは「落下して地面にぶつかったときに、衝撃を弱めようと腕を出して起こる圧迫骨折」と推測。高さ12メートル以上から落下したとみられ、木から落ちた可能性があるという。右足首や左ひざにも骨折があるが、治った跡はなく、骨折後にそのまま死亡したとみられる。
アファール猿人の出現前に、チンパンジーとの共通祖先から分かれた初期猿人は、地上にも降りていたが、主に木の上で生活していたとされる。チームは「アファール猿人は地上での生活が増え、木登りの能力を失ったのかもしれない」としている。(神田明美)