「ざ・鬼太鼓座」(C)1989「ざ・鬼太鼓座」製作委員会
ベネチア国際映画祭に日本からは今年、加藤泰監督の幻の作品「ざ・鬼太鼓座(おんでこざ)」のデジタルリマスター版、黒澤明監督の「七人の侍」の4Kリマスター版の2本が選ばれ、期間中に上映された。世界各国から厳選された名作が集まるのが、クラシック部門。
「ざ・鬼太鼓座」は、新潟・佐渡島で太鼓を鳴らし続ける芸能集団「鬼太鼓座」の若者たちを撮影した異色のドキュメンタリー。「沓掛時次郎 遊俠一匹」「幕末残酷物語」など時代劇や任俠(にんきょう)映画を手がけた加藤監督が、約2年かけて撮影した作品だ。松竹によると、加藤監督が亡くなる4年前の1981年に完成したものの様々な理由が重なってお蔵入りとなり、生誕100年となる今年に合わせてデジタルリマスター版をつくったという。日本では11月に開かれる「東京フィルメックス」で上映される予定。
ベネチア映画祭の会場に駆けつけた松竹の小松士恩さんは上映に先立ち、ローアングルや長回し、同時録音などを特徴とする加藤監督独特のスタイルについて説明し、「35年経った今、デジタルリマスター版をここベネチアで世界初公開できるのは光栄です」とあいさつした。ドキュメンタリーとはいってもセットを使って撮影された部分もあり、かなり計算して作り込まれている。豊かな自然の中、生命力あふれる肉体が生み出す太鼓の音や踊りの迫力と映像美が印象的だ。
一方の「七人の侍」は、195…