希望者全員が65歳以上になっても働ける企業が、全体の4分の3に広がり、70歳以上でも働ける企業の割合も21・2%にのぼることが分かった。厚生労働省が28日、「高年齢者の雇用状況」として発表した。人手不足が続くなか、企業は定年の廃止や延長などを進めている。
従業員31人以上の企業の6月1日時点の状況を集計した。対象の約96%にあたる約15万3千社が答えた。
希望者全員が65歳以上になっても働ける企業は、前年比1・6ポイント増の74・1%。定年を65歳以上にしている企業は16・0%(前年比0・5ポイント増)、定年制を廃止した企業は2・7%(同0・1ポイント増)だった。
働きたいと望む66歳以上の全員を継続雇用する制度を導入している企業は4・9%(同0・4ポイント増)。定年を66歳以上にした企業は前年と同じ1・1%だった。70歳以上まで働ける企業は21・2%(同1・1ポイント増)に達した。
高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保措置として、定年制の廃止や定年の延長、継続雇用制度の導入のいずれかを企業に義務付けている。
みずほ総合研究所の堀江奈保子上席主任研究員は「65歳までの雇用確保は整ってきており、次のステップに進む必要がある。国は助成金や職業訓練などで企業の動きを加速させるべきだ」と話す。
政府は、先月発足した「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)で高齢者の就業促進を主要テーマの一つに掲げ、定年を引き上げる企業の支援策などを検討する方針だ。(河合達郎)