家族らの見送りを受けて出発する隊員ら=20日午前、青森市の青森空港、小玉重隆撮影
南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に参加するため、安全保障関連法に基づく新任務の「駆けつけ警護」などが初めて付与された陸上自衛隊派遣部隊の先発隊約130人が20日、青森空港を出発した。21日に南スーダンの首都ジュバに到着する。
派遣部隊は約350人。隊員は青森、宮城、岩手、秋田各県の部隊などから選ばれた。12月中旬までに全隊員が現地入りし、現在活動中の部隊と交代する。活動期間は約半年間で、主に道路整備などにあたる。
派遣隊員は20日、青森空港で見送る家族らの列の間を歩き、拍手を受けながら搭乗ゲートに向かった。
駆けつけ警護は陸自部隊が国連司令部などの要請を受け、離れた場所にいるPKOやNGOのスタッフらを保護しに行く任務。武器の使用基準が緩和されたが、隊員が戦闘に巻き込まれるリスクが高まるとの批判もある。
駆けつけ警護は、他国のPKO要員らとともに武装勢力から宿営地を守る「共同防護」とあわせ、12月12日から実施可能になる。
一方、南スーダンで活動してきた陸自部隊の一部の隊員約60人が20日、帰国した。北海道の部隊所属の隊員が多く、同日朝、新千歳空港に到着。残る約290人は12月に帰国する予定。蝶野元希2等陸佐は報道陣に「活動しているジュバ市内と近郊は平穏が保たれている」と話した。
20日午前10時過ぎ。派遣隊員らが乗った飛行機が青森空港を離陸すると、空港ビルの屋上に集まった見送りの家族ら約200人から声が上がった。「パパ、頑張ってねー」「行ってらっしゃーい」。大きく手を振る人、涙をぬぐう人、黙って見つめる人。父親を見送った小学6年の男の子(11)は「南スーダンは貧しい国だから、少しでもよくなってほしい。悲しいけど、お父さんには頑張ってほしい」と話した。
駆けつけ警護には、懸念の声が相次いだ。弟を見送った姉(39)は「新任務が与えられなければいいと思っていた。正直嫌だし、不安です」。息子が出発した母親(64)は「説明を聞いたときは、戦争の一環みたいな感じを受けた。武器を持って行けば、命の危険もあるのでは」と語った。
「不安で胸が張り裂けそう」。…