精神科の病院で体をベッドにくくりつけられるなどの身体拘束をされた患者数が2014年は1万682人で、過去最多だったことが厚生労働省の調査で分かった。精神保健福祉法に基づき認められている措置だが、症状の重い患者の増加も要因とみられ、厚労省は詳しい調査を始める。
調査は14年6月末時点で実施。拘束された患者のうち、家族らの同意で入院させる医療保護入院が8977人、都道府県知事らが決める措置入院が232人だった。都道府県別では北海道が1067人と最も多く、東京都の1035人、千葉県の888人が続いた。施錠された保護室への隔離は1万94人で初めて1万人を超過。医療保護入院患者が8377人で、措置入院患者が549人だった。
精神科病院の入院患者総数は29万406人で、前年から7030人減ったが、重度で症状が安定しない急性期の患者が増えているという。精神保健福祉法では、患者が自らを傷つける恐れがあるなどと精神保健指定医が認めた場合に身体の拘束や隔離ができる。拘束や隔離が増えている理由を詳しく把握するため、厚労省は次回の調査から新たに疾患の内容などを調査項目に加える方針だ。(井上充昌)