築地市場の移転問題を検討する東京都の市場問題プロジェクトチーム(PT、座長=小島敏郎・青山学院大元教授)の会合が26日にあり、「豊洲移転」と「築地残留」の両案を併記した報告書の素案が示された。小池百合子都知事は、PTが5月末までにまとめる最終報告を参考材料の一つとして移転の可否を判断する。
特集:豊洲移転問題
PTは市場問題の解決に向けた課題の整理が目的。報告書の素案では、豊洲に移転した場合、赤字が年100億円に上ったり、設備更新費が15年ごとに200億円かかったりする恐れがあるとして採算性の課題を指摘。一方、築地での再整備は7年間で734億円をかければ可能などとした。
会合では、メンバーの建築家や大学教授から築地再整備案に対し「工期や費用の根拠が不明確」との指摘が相次いだ。築地市場の敷地で詳細な土壌汚染調査をする必要性や、耐震強度が足りない築地の建物で営業を続けることを問題視する意見も出た。小島座長は「豊洲か築地かの議論ではなく、課題を整理する。いずれの案に決めても100点ではなく、重い課題を解決していく決意が必要だ」と話した。(小林恵士)