2回戦で主審を務める天野安喜子さん=西畑志朗撮影
男子柔道家の憧れの舞台である全日本選手権(4月29日、東京・日本武道館)に、初めて女性が「出場」した。1948年の第1回大会から、男性だけだった審判員に、今年は初めて3人の女性審判員が加わり、伝統の畳に上がった。
試合をさばいたのは、天野安喜子さん(46)、松田基子さん(48)、樽谷哲子さん(43)の3人。12人の男性審判員と、試合ごとに3人で組んでジャッジした。まず2人いる副審をした後、中央で試合を取り仕切る主審も2試合ずつ務めた。
周囲から「全日本は特別な大会。緊張するから気をつけて」と助言されたというが、3人とも本番では堂々たるもの。「畳を見たら落ち着いた。いつもと同じように男性審判員と助け合い、冷静にジャッジできたと思う」と天野さん。樽谷さんも「平常心でいられた。歴史的な一歩だけど、これが当たり前になるよう頑張りたい」と話した。
松田さんは「女性審判員の先輩方が道を開いて下さったおかげでこの場に立てた。私たちもしっかり次にバトンをつなぎたい」と決意を新たにしていた。
天野さんは江戸時代から続く宗家花火鍵屋の15代目花火師。松田さんは大阪体育大学体育学部の准教授(医学博士)で女子柔道部監督。樽谷さんは神戸市内で柔道教室「樽谷塾」を開いている。