好投する神村学園の青柳=日吉健吾撮影
(28日、九州地区高校野球大会決勝 神村学園3―1鹿児島実)
神村学園が九州大会優勝 春の高校野球、鹿児島実を破る
動画もニュースもバーチャル高校野球
神村学園に失策が出たのは八回だった。2死一塁で遊ゴロ。二塁に入った田中祐が遊撃手からの送球を落とした。「でも、仲間が必ずカバーしてくれると思った。それだけ守備を鍛えてきましたから」と田中祐。
冬はノックの量が激増した。昨秋の県大会準決勝で鹿児島実に守りのミスで敗れたからだ。一つの失策で崩れてしまうわけにはいかない。体に染み込ませてきた「守り勝つ」との意識は、その直後に表れた。
一、二塁となって、マウンドの青柳は右前安打を喫した。ここで右翼手の角が素早く本塁へダイレクト返球。ぴしゃりとアウトにした。角は「キャッチボールのときから球にいい回転をかけて投げるよう心がけています」。日々の細かなこだわりの成果でもあった。
青柳は「助かった」と感謝だ。エース俵森が体調不良で回ってきた先発。大会初登板だった。県の1年生大会で鹿児島実に打たれており、「絶対負けたくない相手」と低めに集めて最少失点に抑えていた。苦しい終盤、バックにもり立てられ、屈辱を晴らす完投だ。
春は県の決勝で鹿児島実を下しており、このチームで2勝1敗と勝ち越した。勝負となる夏に当たった場合を考えると、いいイメージで臨めそうだが、「そんなに甘い相手じゃありません。これからもしっかり守っていかないと」と角。県内でしのぎを削る難敵とは、戦うたびに気が引き締まるばかりだ。(隈部康弘)