参院予算委で、民進党の小川敏夫氏の質問に答弁する安倍晋三首相=9日午後2時13分、岩下毅撮影
安倍晋三首相は9日の参院予算委員会で憲法改正について、自衛隊の存在を明記する9条改正を優先する考えを強調した。改正憲法の施行を2020年と明言した理由については、「目標の年限を示すことが私の責任ある態度だ。結果を出していく議論をすべきだ」と述べ、首相在任中の憲法改正に強い意欲を示した。
民進党の蓮舫代表が「総理は口を開くたびに改憲したい条文が変わる」と批判したのに対して、首相は「今やらなければいけないことは自衛隊についてだ。憲法学者の7割、8割が違憲という状況を変えていくことは私たちの世代の責任だ」と主張した。
これに対し、共産党の小池晃書記局長が「(戦力不保持の9条)2項をそのままに自衛隊を位置づけても、自衛隊が違憲との疑問は消えない」とただすと、首相は「私たちは(9条)1項2項があっても自衛隊は合憲だという立場だ」と反論。憲法に自衛隊の存在を明記すると同時に文民統制の規定を盛り込むなどの案を示した。
小池氏は、安倍政権が安全保障関連法で集団的自衛権の行使を認めたことを取り上げ、「自衛隊を憲法上認めることになれば、何の制約もなく海外で武力行使できるようになる」と問うた。首相は「1項2項を残すことで今までの憲法上の制約は受ける」と説明。武力の行使は自衛のための必要最小限に限られる従来の憲法解釈は変わらないとする一方、「(9条に)どう書き込むかは自民党の中で議論してもらいたい」と語った。