投票に向かう「共に民主党」の文在寅氏=9日午前8時35分、ソウル、遠藤啓生撮影
文氏が優位に立っていることで、慰安婦問題についての日韓合意をめぐる両政府の対立が浮上しかねない情勢だ。2015年末の日韓合意では、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」と確認したが、文氏は「無効化と再交渉」を掲げているためだ。
文在寅氏、出口調査で大幅リード 韓国大統領選投票終了
特集:韓国大統領選挙
菅義偉官房長官は9日の定例会見で「(日韓合意は)両国で約束したもので、国際社会からも高く評価された。実施していくことが極めて重要だ」と述べ、合意破棄や再交渉には応じない姿勢を改めて示した。日本政府は、日韓合意の行方が今後の両国関係の最大の焦点とみている。
北朝鮮が核・ミサイル開発を強行するなか、外交・安全保障分野で両国が協力する必要性は高まっている。文氏の外交ブレーンも歴史認識問題と経済・安全保障を切り離す方針を示しており、日本側は「文氏も日韓関係の重要性は認識している」(外務省幹部)とみる。
安倍晋三首相は9日の参院予算委員会で「新大統領とも協力していく。そのため早い段階で電話会談を行いたい」と述べ、次期政権との関係づくりを急ぐ考えを示した。(松井望美)