蜷川さんが演出した舞台の大道具が飾られた大稽古場=15日、さいたま市中央区の彩の国さいたま芸術劇場
昨年5月12日に亡くなった演出家、蜷川幸雄さん(享年80)の一周忌の法要が15日、芸術監督を務めた「彩の国さいたま芸術劇場」(さいたま市中央区)で営まれ、蜷川さんを悼むメモリアルプレートが披露された。
プレートはセラミックと銅で作られ、大きさは縦80センチ、横75センチ。蜷川さんの遺影とともに、家族が蜷川さんの著書から選んだ「最後まで、枯れずに、過剰で、創造する仕事に冒険的に挑む、疾走するジジイであり続けたい」との言葉が記されている。埼玉県と劇場を運営する埼玉県芸術文化振興財団が、劇場内の大稽古場前の通路に設置した。
除幕式で妻の宏子さん(76)は「娘や孫、そして多くの俳優さんが思いを受け継いで、船出してくれている。本当に幸せです」と話した。蜷川作品に多く出演している俳優の市村正親さん(68)は「常に蜷川さんの存在が近くにある。罵声に負けないぐらいの芝居をしていくことが僕の使命」と語った。
一方、大ホールの祭壇には長女実花さん(44)が2年前に撮影した遺影が掲げられた。劇場内の大稽古場も開放され、演出する際に蜷川さんがよく座っていた椅子や使っていたかばん、演出した舞台で用いた大道具などが置かれ、参列者は懐かしそうに見ていた。(江戸川夏樹)