発見された舎利孔鉄蓋=23日午前、奈良県斑鳩町の法輪寺、小林一茂撮影
聖徳太子の子・山背大兄王(やましろのおおえのおう)の創建とも伝わる奈良県斑鳩町の法輪寺(ほうりんじ)で、仏舎利(ぶっしゃり、釈迦の遺骨)の壺を納めた穴の蓋(ふた)「舎利孔鉄蓋(しゃりこうてつぶた)」が確認された。寺が23日発表した。鉄製で、飛鳥時代の7世紀後半のものとみられる。江戸時代に絵に描かれたが、その後は所在不明になっていた。
蓋は円盤状で、直径約33センチ、厚さ0・5~1ミリ、重さ712グラム。仏舎利の入った「銅壺(どうこ)」(国重要文化財、飛鳥時代)を納めるため三重塔の心柱(しんばしら)の礎石に開けられた穴をふさぐ蓋とみられる。もとは直径34センチほどで中央につまみがあったとみられるが、さびて周辺部やつまみは失われていた。
寺の依頼で2015年、町教育委員会が蔵を調べたところ、棚の中で盆に載った状態で見つかった。今年に入って奈良文化財研究所で詳しく調査。塔を解体修理中の1739(元文4)年に仏舎利などが見つかった時の記録「仏舎利縁起(えんぎ)」(国重要文化財)には、仏舎利に関する九つの品の一つとして「金蓋(かなぶた)」が描かれており、町教委は大きさや形などの特徴が似ていることから同一品と判断した。
町教委生涯学習課の平田政彦課長補佐によると、「古代寺院での鉄製の舎利孔蓋は、確認した中では初めての事例」という。