橿原神宮の南神門近くの石灯籠(どうろう)にかけられた液体=奈良県橿原市久米町
奈良県警は21日、橿原神宮(同県橿原市)と東大寺(奈良市)の境内で、液体がかけられる被害があったことを明らかにした。県内では20日に興福寺(同市)で国宝の仏像の台座に同様の跡が見つかり、捜査関係者によると、国宝館の防犯カメラには男が液体のようなものをかける様子が映っていたという。
国宝仏像の台座に液体、奈良・興福寺が被害 十数カ所に
興福寺の液体の痕「油のようなもの」 仏像など被害
昨年には少なくとも16都府県48カ所で油のような液体が寺社などでまかれる事件が相次いだ。県警は器物損壊容疑などで捜査に乗り出すとともに、過去の事件との関連を調べている。
橿原署によると、21日午前8時40分ごろ、橿原神宮の職員が外拝殿のさい銭箱に液体の跡があるのを発見。調べた結果、いずれも文化財指定は受けていないが、近くの石床や二の鳥居、石灯籠(いしどうろう)など8カ所に油のような液体がかけられていた。
また、東大寺では大仏殿内で鉄製の花瓶など2カ所が被害に遭った。奈良署によると、午前11時40分ごろ、参拝者が見つけて寺に知らせたという。
一方、文化庁の奥健夫・主任文化財調査官は21日、興福寺を調査し、「油のようなもので、甘い香りの香料が添加されていると感じた」と話した。興福寺は22日から国宝館と東金堂の拝観を再開する。