学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画をめぐり、同学園理事で内閣官房参与だった木曽功氏が前川喜平・文部科学事務次官(当時)に会い、学部新設が話題になっていた。学部の新設に慎重な文科省に対し、首相官邸や内閣府が複数のルートで、次々と対応を求めた構図が証言や文書を通じて浮かんできた。
加計学園理事の内閣参与、前次官と接触 新学部も話題に
「圧力ない」「巨大な忖度」 元内閣参与の加計学園理事
前川氏によると、木曽氏が文科省の事務次官室を訪れたのは昨年8月下旬。前川氏は「獣医学部の件でよろしく、などと言われた」と証言した。自らも文科省OBの木曽氏は取材に、面会の事実は認めつつも、学部新設への「圧力」を否定した。ただ、自身が加計学園理事で、学園が運営する千葉科学大の学長でもあることから、獣医学部は「話題としては出ない方がおかしい」と語った。
この時期は、国家戦略特区での獣医学部新設をめぐり、特区を担当する内閣府と文科省の担当者間で協議が続いていた。農林水産省などから新設に必要とされる獣医師の需給見通しが示されないとして、文科省は慎重姿勢を取っていた。
前川氏によると、木曽氏の訪問から間もない昨年9月上旬、前川氏は首相官邸に呼ばれた。地方創生などを担当する和泉洋人・首相補佐官と面会し、獣医学部新設について「総理は自分の口からは言えないから、私が代わって言う」などと対応を求められたという。和泉氏は取材に「記録が残っておらず、確認できない」と答え、首相からの指示についても否定した。
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