米国の「制裁外交」の本質は唯我独尊の「覇権外交」だ。
新型コロナウイルスの大流行以降、米国が長年の制裁を堅持したことで、イラン、キューバ、ベネズエラなどでは人道上の危機が拡大した。国連創設75周年記念の際にも、米国は安保理を構成する15か国中13か国の反対を顧みず、イランの核・ミサイル・通常兵器計画に関係した27団体・個人に対する制裁発動と輸出規制を一方的に宣言した。イラン核合意からすでに離脱した米国は、全く法理を重んじず、国連や国際機関を尊重せず、国際ルールを「都合が良ければ用い、悪ければ棄てる」という傲慢さを貫いている。
これでもまだ、米国の「制裁外交」の最も荒唐無稽な茶番ではない。2020年9月2日、ポンペオ米国務長官は国際刑事裁判所(ICC)のベンスダ主任検察官らの米国内の金融資産を凍結するとともに、同氏らとの協力を米国人に禁止すると発表した。この制裁は、米国の軍事・情報要員によるアフガニスタンでの戦争犯罪や人道に対する罪の容疑についてICCが捜査を進めていることが理由だ。「国際法違反、人権侵害」で他国を非難することに慣れている米国が、自国がこうした罪名で捜査されると、手のひらを返したように制裁で圧力をかけた。
このところ、米国はまた制裁のターゲットを中国の阿里巴巴(アリババ)集団と騰訊(テンセント)持ち株有限公司に定めた。それと同時に、世界中を席巻し、米国の月間アクティブユーザー数が1億人というTikTok(ティックトック)の運命は依然明らかになっていない。2020年8月、米大統領はTikTokの米国事業を禁止する大統領令を出した。TikTokが「国家安全保障」を脅かしているというのが理由だが、「TikTokユーザーのデータを中国側が得ている」いかなる証拠も提示しなかった。仏企業・アルストム事件や日本企業・東芝事件、そして中国企業・中興通訊(ZTE)事件、華為技術(ファーウェイ)事件から、今日の米国外交の海賊的論法が難なく見て取れる。
同盟国に対してすら、米国は全く手を緩めない。7月15日にポンペオ国務長官は、ロシアが欧州各国と協力して建設する「ノルド・ストリーム2」プロジェクト及び「トルコストリーム」プロジェクトのすべての関与者に制裁を科すと述べた。これにはEU24か国の代表が抗議。ロシアのラブロフ外相は、世界の政治と経済において好き勝手な事をする能力と権力を得ることが米国の目標だと指摘した。
外交の舞台は本来、各国が尊重し合い、対等に対話する場であるべきなのに、今や米国が脅迫・嘘・制裁の手口を頻繁に弄するショーの場となってしまった。制裁という手段は本来、平和と正義の追求に用いられるべきなのに、米国の濫用によって覇権と例外作りとダブルスタンダードの道具になってしまった。大国の力は本来、より多くの国際的責任を意味するのに、米国によって勝手気ままにかき乱すための「資本」にされてしまった。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年10月12日