共謀罪に反対し記者会見する脚本家や劇作家ら=東京都千代田区、北野隆一撮影
映画やテレビの脚本家や劇作家ら表現活動にかかわる団体が14日、国会内で記者会見し、「共謀罪」への反対を表明した。日本劇作家協会が2月にまとめた「『新共謀罪』に反対する表現者の緊急アピール」に、14日までに賛同した日本シナリオ作家協会や日本映画監督協会、日本演出者協会、日本劇団協議会など9団体が名を連ねた。
特集:「共謀罪」
脚本家の加藤正人・日本シナリオ作家協会理事長は「優れた表現はときに公序良俗、反権力にも踏み込む。しかし共謀罪が成立するとそういうテーマを忌避する傾向に拍車がかかり、シナリオ作家が自由な表現を生み出すことが困難になる」と懸念を述べた。
劇団「青年劇場」代表の福島明夫・日本劇団協議会専務理事は「演劇は社会の矛盾や戦争、犯罪、政治も描く。内心の問題を準備段階で罰する共謀罪は、警察による監視を許すことになる。公共施設の利用にも制約が加わりかねない」と語った。
脚本家の中島丈博さんは「私たちはアナーキスト(無政府主義者)を主人公に脚本を書くこともある。共謀罪ができると、謀議と言いがかりをつけられ、警察から内偵される懸念を感じる。映画や演劇で自由な表現ができなくなる時代逆行の共謀罪に、断固反対する」と強調した。(編集委員・北野隆一)
日本劇作家協会が発表し、脚本家や劇作家らが14日の記者会見で賛同を表明した「『新共謀罪』に反対する表現者の緊急アピール」と、賛同団体は以下の通り。
◇
日本劇作家協会は、過去3度も廃案となった「共謀罪」が、問題の本質は変わらぬまま、「テロ等組織犯罪準備罪」として国会に再度提出されることに、強い危機感を覚えています。
この法案は網羅する範囲が広く、また、私たちの創作行為が発表以前に監視されることを許すものです。恣意(しい)的な運用がなされた場合、思想信条や言論・表現の自由への脅威になりかねません。
日本劇作家協会は、自由な表現活動を維持する立場として、あらためてこの法案に懸念を表明します。
2017年2月22日 一般社団法人・日本劇作家協会
(賛同団体)
日本新劇製作者協会
AICT/IATC(国際演劇評論家協会)日本センター
公益社団法人日本劇団協議会
一般社団法人日本演出者協会
協同組合日本映画監督協会
公益社団法人国際演劇協会日本センター 理事会有志
神奈川演劇鑑賞団体連絡会議
協同組合日本シナリオ作家協会
非戦を選ぶ演劇人の会