インターネット上などで広がるデマや真偽不明の情報に対するファクトチェック(真偽検証)の取り組みを進めていく団体「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」が21日、設立された。米大統領選などをきっかけに欧米で先行する取り組みを、日本でも本格化させるのが狙い。新聞やテレビなど既存メディアに参加を呼びかけている。
発起人はスマートニュース執行役員の藤村厚夫氏、日本報道検証機構代表の楊井人文氏、大学教授ら10人。この日、都内で記者会見を開いて発表した。ネット上の報道、政治家や有識者の発言、行政機関や企業の発表、一般人が発信する情報などをチェックの対象とする。
藤村氏は「ネット上の情報量は膨大なため、人力では限界がある」。乾健太郎・東北大教授らのチームが、機械学習や自然言語処理技術を使って真偽に疑義が出ている情報を絞りこむ体制を作る。抽出された情報を、FIJに参加する既存メディアや専門知識のあるNPOなどが検証。結果はデータベース化して広く利用できるようにしたいという。
ファクトチェックをめぐっては、編集権や言論の自由を阻害しかねないとの指摘もある。楊井氏は「ファクトチェックも言論の枠内で行われるもの。特定の言説・情報に対する検閲や排除を志向するものであってはならない。判断材料を提供することが重要な目的だ」と説明する。チェック対象などを定めるガイドラインの内容を慎重に検討するという。(田玉恵美)