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中学校の部活動、ブラック企業の元凶?

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2017-6-18 9:29:37  点击:  切换到繁體中文

 

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朝日新聞デジタルのフォーラムアンケート


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何が活動時間を左右しているのかを尋ねたところ、「前例踏襲・変えにくい空気」が多数を占めました。寄せられた意見をきっかけに、部活動と日本の長時間労働の関係を尋ねた質問には、「密接に関係している」と多くの人が答えました。部活動のあり方をさぐる有識者会議の座長に、これからの改善の方向について聞きました。


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■「前例踏襲」の雰囲気が…


活動時間を決めているのは? アンケートでは「前例踏襲」を多くの人が選びました。寄せられた声の一部です。


●「現在金沢市で中学生の娘は、平日は毎日7時までが部活動の時間です。帰りは真っ暗の中を歩いて帰ってきます。家に帰ると疲れてふらふらで、勉強どころではありません。先日脚が痛くて我慢できないというので、整形外科に連れて行くと、筋肉を痛めているので安静にと言われました。でも部活は休めない雰囲気です。上の子のときから何度か活動時間を短くしてほしいと学校に意見しましたが、他の学校も同じだからと流されてしまい、子供の学校での立場を考えるとそれ以上に強く意見することが出来ません。今年度中と言わず、早急に部活のガイドラインを作って規制をかけてほしいです。子供に何かおこってからでは遅いです」(石川県・40代女性)


●「勝つためには練習時間の確保は絶対に必要であり、勝ちたい選手と勝たせたい保護者がいるのは事実です。長時間練習すれば勝てるという幻想があり、県外の強豪校へ越境させる中学生もたくさんいます。しかし、全員が長時間の練習を望んでいるわけではなく気軽に楽しみたい選手もいるはずです。そのような選手は残念なことに地元の中学校であっても顧問?保護者?が越境入部させている部活に入部できなくなります。これは残念なことです。義務教育期間である中学校まではまず過熱する全国大会の意義を考えなおす必要があるのではないでしょうか。全国大会で優秀な成績を出す=優秀な指導者ではないはずです」(奈良県・30代男性)


●「息子が中学生で運動部に所属しております。1年生で入部したばかりです。部内のルールにとまどうこともしばしばです。1年生は、集合時間の1時間前に来ること、また先輩の試合中は正座で見学することなどです。上の言うことには絶対に従わないといけない、という雰囲気があります。これは当たり前のことなのでしょうか。先輩のお母様に相談しましたが、縦社会だからという答えでした。部活が日本社会構造の縮図であると少なからず感じています」(千葉県・40代女性)


●「他県で、10年以上中学校の教員をしていました。運動部の顧問がほとんどでしたが、前例踏襲しなくてはいけない雰囲気が強く、出場する大会を厳選したくてもできないこともありました。私自身、運動が苦手な中での顧問だったので、生徒に申し訳ない気持ちでいっぱいな上に、保護者からたたかれてばかり(技術指導できる人に顧問をしてほしい、何でできないのに顧問なんだ等)でした。とにかく『強いチームにしてほしい』『たくさん練習させてほしい』という保護者が一定数いらっしゃるのも確かです。学校の教師だけでなく、外部指導者等、色々な大人と関わっていくことが生徒たちの成長にも必要だと思います」(茨城県・40代女性)


●「今年度から『土日いずれかを休みとする。どちらも行った場合にはその週に休日を1日設ける』と学校で決めましたが、ほとんど守られてはいません。部活に熱心な教員は、何を決めても守ろうとはしません。勝利することが評価される現実、土日の部活動手当が副収入化している現実、部活動が生徒のためなのか、教師のためなのかもあいまいです。長時間労働を選択し、ブラック化を推進しているのは、行政ではなく、教師自身であることも忘れてはならないのではないでしょうか」(埼玉県・40代男性)


■「ブラック社会の元凶」に賛否


部活動と長時間労働の関係についても、多くの意見が寄せられました。


●「長く皆で練習することが良いこと、というのは、そのまま日本の長時間労働に当てはまる。最初にその感覚が刷り込まれるのが中学校部活動である。どの角度から考えても、中学校部活動は超長時間の元凶である。たとえば、就職の面接で部活動をしていたか聞かれることも。野球部、サッカー部、ラグビー部など運動部は従順なため企業側にとって好都合なのだろう。日本の長時間労働の原点は中学校部活動にあり」(神奈川県・20代男性)


●「中学校の吹奏楽の顧問をしてます。土日は1日やることが、多いですが、これまで、10年間は、土日やれば、月曜日は休みにして、週1回は休みにしてます。苦情はなく、生徒も意欲的にやっています。マイナス面ばかり強調されてますが、これまでのプラスの面も報道されるべきだと思います。ブラック部活が、ブラック企業につながるというのは、あまりにも、短絡的な気がします。部活が制限されて、クラブチームの活動が、治外法権的に好き放題やるほうが、心配な気がします。プラスの面、マイナスの面を総合的に論じられる場があれば、良いと思います」(石川県・40代男性)


●「中学も高校も休みは月に数日、朝練もありというような部活動を経験しました。大会での成績はずば抜けて良いものではありませんでしたし、その結果がその後の入試等に生かされたわけでもありません。しかし、その経験は今日に至るまで非常に貴重かつ重要なものとなっており、それらをマイナスイメージの強いブラック企業と結び付けるのはいささか次元が低く感じます。ただ、それに付き合ってくださった教員の方々には本当に頭が下がる思いで、相応の手当が出ていなかったことも知っています。今後は部活動専門の指導員の存在を強めていく必要はあると思っております」(神奈川県・20代男性)


●「問1は全てが要因になりうる。問2は部活がブラック社会を作り出しているのではなく、社会の要求に部活が応えた結果ではないか? 現在でも多くの企業では部活を熱心に行ってきた人材を欲しているように感じる。これは彼らが部活動を通して問題解決能力やコミュニケーション能力、ストレス耐性を身につけているからであろう。が、ここには大きな問題が存在する。人口の減少による能力の低下と1人あたりの負担増である。かつての部活動はストレスと長時間活動に耐えうる子どもだけが残っても活動可能人数が確保できたが、現在は1人でも辞めるとチームを組めないことが多々ある。そのなかで競争力を維持しようとすれば自然、負担感は増えるのでは」(兵庫県・20代男性)


■「多様なあり方模索して」 スポーツ庁有識者会議座長の友添秀則・早大教授


運動部活動のあり方のガイドラインをつくるため先月、スポーツ庁で有識者会議が始まりました。座長を務める友添秀則・早稲田大スポーツ科学学術院教授に話を聞きました。



部活動の現場に行くと、教員の意識は二手に分かれます。もっと指導したいという人と、負担に感じて強い不満を抱えている人です。


部活の顧問には、いっぱい仕事があります。技術指導だけではなく、部員の悩み相談、大会の申し込みから打ち合わせ、引率、保護者への対応、地域イベント参加の調整……。無限定と言ってもいい。事情は運動部も文化部も基本的に同じです。


好きじゃないとやれない。でも、中学校では、教員のほぼ全員が何かしらのかかわりをもちます。やりたくないことをさせられている教員の元では、子どもにしわ寄せがいくでしょう。


現場任せでは、改善は難しい。学校というのは前例主義です。あるいは、みんなやっているという同調主義。それらが潜行し、ものが言えない状況になっていることもあります。都道府県教委などが具体的な改善案を示した方がいいでしょう。


■分業で教員の負担軽減


一案として教科と部活の分業制を提案します。部活を担当する教員には、授業負担を軽くし、担任も持たせない。その逆もしかりです。


教育課程内の教科と課程外の部活の扱いに、違和感があるかもしれません。しかし現実は、学校にとって部活は重要な教育手段の一つです。仮に毎日2時間活動すれば年700時間にもなる。そんな教科はほかにありません。現場や子どもの自主性に任せると言って、放っておいていいはずがありません。


運動部に限っていうと、将来的にはスポーツコーディネーターという役職を置くことも考えてほしい。外部指導員という言い方でもいいですが、校内すべての部をみるのがポイント。部活指導の基本や運営などで顧問を助けたり調整を担当したりします。きちんとした報酬と公務員の身分保障をする。余裕がある場合に住民がさまざまなスポーツを楽しむ総合型地域クラブの指導員もしてもらえば、その人を通して学校と地域がつながります。


余裕のある教職員体制で、多様な部のあり方を支えてもらいたい。


現場で聞くと、子どもたちには、勝負よりも楽しみたい、友達がほしいという要望も多い。教室以外の学校での居場所です。トップレベルをめざす部がある一方、友達との交流を大事にする部があってもいい。


■選手育成は競技団体で


東京五輪・パラリンピックに向け、有力選手の発掘・育成は、より競技団体や体育協会が主導する流れになっています。トップアスリートについては一義的にこの流れに任せてはどうでしょう。部活のあり方としてだいぶすっきりします。


どの子も同じ目標に向かって同じようにがんばる。部活は日本人の生き方の一つの範型でした。しかし、制度疲労も限界です。教員の負担は膨大になり、子どもが部活に求めるものはもはや一様ではありません。


前例に沿った平等主義をやめて、多様なスポーツ、文化活動のあり方を模索した方が、現代の子どもや親、そして教師の期待に合っています。(聞き手・村上研志)



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