修学旅行で奈良を訪れた東京都多摩市の中学生たちが作ったシカと五重塔=奈良市登大路町
夏の古都・奈良を彩る「なら燈花会(とうかえ)」を、修学旅行生が体験できるプランが人気を集めている。「青春の原風景になれば」とスタッフは願いを込める。
【特集】奈良を歩こう
6月上旬、修学旅行で奈良市内に宿泊する東京都多摩市立聖ケ丘中学校の3年生約90人が奈良公園に集まった。地元経営者らで作るNPO法人「なら燈花会の会」のスタッフから助言を受けながら、ろうそく入りカップを並べた。最初は興味がなさそうだった男子生徒も次第に夢中に。クラスごとに考えたシカなどの絵柄ができあがり、明かりをともすと、「きれい」「ヤバい」と歓声があがった。
3年3組の伊藤千尋さん(15)は「一つひとつの炎が集まったのを見て、涙が出そうになった。中学の最後がこのクラスで良かった」と話した。
なら燈花会は地元の若手経営者らが1999年に始めた。観光客の減る8月の奈良公園を彩り、5年後には70万人以上が訪れるようになった。今年も今月5~14日の夜に開かれる。
しかし、京都や大阪を宿泊先に選ぶ観光客も多く、奈良に泊まらないのが地元の悩みだ。2016年の奈良県の延べ宿泊者数は252万人で全国でもワースト2。修学旅行生も減っており、奈良市によると、市内に泊まる修学旅行生は1992年の31万人から08年は9万人にまで落ち込んだ。
そのため、なら燈花会の会は0…