プロ野球記録に並ぶ通算949試合登板を達成した中日の岩瀬=西畑志朗撮影
(4日、中日6―5巨人)
日本記録に並ぶマウンドは、厳しい場面で回ってきた。九回2死一、二塁。岩瀬は、4番阿部に初球を右前に運ばれて満塁に。続く村田にはカウント3―1で押し出しのピンチ。最後は、内角低めの直球で勝負した。右飛に打ち取ると、ふーっと息をついた。「一瞬、節目に弱いのかなとも思ったけど、気持ちを入れ直した。運があるのかな」。白星もついてきた。
中日・岩瀬、歴代最多の949試合登板 米田氏に並ぶ
歴代最多の15年連続50試合以上に登板した鉄腕も、史上初の通算400セーブを達成した2014年夏から苦しむ。8月に左ひじを痛め、15年はプロ生活で唯一、登板なしに終わった。昨季も満足いく成績ではなく、背水の陣で臨むプロ19年目の今季は、6月の月間MVPを獲得するなど自信を取り戻した。「よくここまで投げられた。2年間投げられなかったことを考えたら、喜びもひとしお」
登板数で米田氏の日本記録に並んだが、敬意を表する。「僕はずっと中継ぎか後ろでやってきた。先発でこの数字は、とてもじゃないけど考えられない。記録としては抜くかもしれないけど、中身は全然違う」
全盛期は140キロ台後半だった直球は、せいぜい140キロほど。それでも、長年培った経験と観察眼は衰えない。ブルペンではモニターで打者をどの球種で抑えたかをじっと見つめて研究し、投球を組み立てる。友利投手コーチは「まるで今はやりの将棋のように、一球一球に意味がある。あれは芸術ですよ」。
救援投手として日々、登板準備をする現役最年長。「ホッとする瞬間は、はっきり言ってない。逆にホッとしちゃうと体が動かなそうだから、落ち着きたくない」。42歳は歩み続ける。(野田枝里子)