国連環境計画(UNEP)は、地球温暖化対策の「パリ協定」のもとで、各国が掲げる温室効果ガス削減目標を達成しても、今世紀末には気温が少なくとも3度上がる可能性が高いとする報告書をまとめた。6日から始まる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)で、各国政府に対策強化を促すとともに、自治体や企業にも早急な行動を求めている。
パリ協定では、地球全体の気温上昇を産業革命以前から2度、できれば1・5度までに抑える目標を掲げる。各国は自主的につくった目標に従って、温室効果ガスの削減に取り組む。
報告書は、現在の各国の削減目標を積み上げても、パリ協定達成のために、2030年までに必要とされる削減量の3分の1しか満たさず、二酸化炭素(CO2)換算でさらに110億~190億トン減らす必要があると指摘。対策を強化しなければ、今世紀末には気温が3~3・2度上昇する恐れが強いと分析した。
削減を加速する手段として、農業や建築、エネルギーなどの分野の技術革新に投資を進めることを提言した。投資額はCO2排出削減1トンあたり100ドル未満ですむという。雇用などに配慮しつつ、石炭火力発電所の新設をやめたり、閉鎖を早めたりすることもすすめている。(小坪遊)