記者会見するソフトバンクの孫正義会長兼社長=東京都内
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は6日、子会社で米携帯電話4位のスプリントと同3位のTモバイルUSとの経営統合交渉を打ち切ったことについて、「経営に余裕ができ、焦って判断する必要がなくなった」と説明した。米国ではスプリントと別の相手との提携交渉も報道されており、「筆頭株主として事実上(スプリントの)経営権を握れるなら、それも選択肢になる」との考えも示した。
米携帯2社、合併交渉打ち切り SBは再編戦略練り直し
2017年9月中間決算の記者会見で話した。孫氏は「スプリントは仮に今後3~4年苦しい戦いになっても、中長期的には買収した他の子会社との相乗効果が見込める」と説明。交渉打ち切りで下落が見込まれるスプリント株を、「(下落は)我々にとってはチャンス」だとして買い増す計画も発表した。
こうした説明の背景には好調な業績がある。今年設立したソフトバンクビジョンファンドが9月までに1862億円の利益を出し、大量の株を持つ中国IT大手アリババの株価が約1年で2倍に上昇。「スプリント自身の業績改善もあり、短期的な利益のために(経営統合を)判断する必要がなくなった」と述べた。
孫氏は13年に経営不振だったスプリントを買収。Tモバイルとの経営統合で上位2社に対抗する戦略を描いてきたが、今後は戦略を練り直すことになる。
米国では、スプリントがケーブルテレビ大手のチャーターやコムキャストと提携交渉を始めたとも報じられている。孫氏は「交渉の門戸は常に開いている。なんでもありだ」と述べ、業界をまたぐ大型再編に含みを残した。(上栗崇)