「モクシー大阪本町」の客室。外観はオフィスビル当時のままだが、室内にはその面影がない=大阪市中央区
オフィスビルを改装し、ホテルに「変身」させるケースが東京や大阪などの中心部で相次ぐ。訪日外国人客の増加で宿泊施設が不足するなか、省コストで早期に開業して商機を逃さないためだ。オフィスのテナント集めが難しい立地でも、ホテルなら安定した収益が見込めるという。
大阪市の本町と東京・錦糸町で1日、米大手ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルが日本初のブランド「モクシー・ホテル」を開業した。チェックインをバーカウンターでする遊び心を採り入れ、写真を撮ってソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で発信したくなる「SNS映え」をねらった内装が売りだ。
どちらの建物も、もとはオフィスビルだった。大阪の11階建てビルは、婦人用下着販売会社「マルコ」(大阪)の旧本社。2006年の完成だが、大阪・梅田への本社移転に伴って売却していた。
大阪の新ホテルを経営するMOJホテルマネジメント(東京)の沖浩幸代表によると、ビルの柱はそのまま生かし、壁で仕切って客室を設置。床を底上げして配管を通し、全155室にシャワーやトイレを備えた。「すぐ参入したかったので、工期が短かったのが一番の利点」。外観はオフィスビルのままで、工期は8カ月で済んだ。
空室になったオフィスビルを改装し、用途変更(コンバージョン)してホテルにする動きが盛んだ。
不動産管理会社「ザイマックス」(東京)は、大阪と京都でオフィスビルを改装し、それぞれ「からくさホテル大阪心斎橋Ⅰ」(69室)、「からくさホテル京都Ⅰ」(36室)に変えた。訪日客を主なターゲットにした宿泊特化型で、稼働率は9割近くと好調だ。大阪のホテルは9階建てのオフィスビルだったが、障害者用エレベーターや各部屋の窓を設置。間取りなどで制約こそあるが、「新築に比べ工期は半分で済み、コストも3分の2程度だった」と同社担当者は話す。
■「ホテル不足」…