JR西日本は16日、全社員の約4割にあたる約1万4200人に対し、未払いの残業代を支払うと発表した。2015年3月~17年3月の25カ月間で計約19億9千万円にのぼる。17年3月に大阪労働局天満労働基準監督署の是正勧告を受け、その後の社内調査で発覚したという。
自己申告などで会社が把握した労働時間と、パソコンなどに残る実際に働いた時間にずれがあり、仕事でパソコンを使う約1万7700人に同社が聞き取り調査などをした。
その結果、約80万1200時間分の未払いがあることが判明。最も額が多いのは、50代の駅助役の男性(約456万円分)のケースで、1192時間(月平均47時間)の残業が把握できていなかった。男性がもともと申請していた約40時間を加えると、残業時間は月80~90時間となり、同社と労働組合が合意している月45時間の時間外労働時間の取り決め(36協定)を超えていたという。
この駅助役を含め、500時間(月平均20時間)以上多く残業していた社員は15人いた。聞き取り調査に対し「(上司からの強制はないものの)36協定の上限時間を意識して申告する時間を抑えていた」と話す社員が複数いたとしている。
同社は「調査結果を真摯(しんし)に受け止め、適正な労働時間管理に努める」と話した。是正勧告を受け、パソコンの使用記録をもとに上司が労働時間を管理する仕組みを導入して再発防止に取り組んでいるという。(波多野大介)