年金の2月支給分で約130万人が所得控除されずに税金を多く取られ、本来より少ない金額が支払われた問題で、日本年金機構がデータ入力を委託した東京都豊島区の情報処理会社が契約に違反し、入力業務の一部を中国の業者に再委託していたことが19日、関係者への取材で分かった。
機構は情報処理会社との契約で、個人情報保護のため別の業者への再委託を禁止していたが、受給者約500万人分の配偶者名やふりがななどの個人情報が中国業者に渡されていたという。厚生労働省は、中国の業者からの個人情報の外部流出は現時点で確認されていないとしている。20日に加藤勝信厚労相が機構の水島藤一郎理事長から事情を聴く。
機構は昨年8月、情報処理会社に約500万人分の個人情報のデータ入力業務を委託した。だが、多数の入力ミスが見つかったほか、期限内に提出された約6万7千人分の所得控除の申告書が事実上放置されていたことが判明。機構が入力データの再点検を進めていた。
関係者によると、同社は申告書に書かれた個人情報のうち、配偶者の氏名や読み仮名などの一部情報の入力を中国の業者に再委託していたことが新たに判明した。年金額には直接関係しないものの、1月に機構から送付された源泉徴収票での氏名情報の記載誤りなどにつながった可能性があるという。(佐藤啓介)