埼玉県内で事業所や学校の健康診断、検査などを受託している公益財団法人「県健康づくり事業団」(吉見町)が、企業の健診のデータ入力を誤り、37人に別人の血液検査の結果を伝えていたことが分かった。誤った結果に基づき薬を処方されたり、再検査を受けたりした人がいたが、事業団は「健康被害はなかった」としている。
事業団によると、ミスがあったのは、川島町の工作機械製造会社で5~6月に約700人が受診した定期健診のうち、38人が受診した5月13日分の血液データ。事業団から処理を委託された業者が、1人目に2人目のデータを入力する形で1人ずつずれた状態で入力し、正しいデータを入れた38人目以外の37人に別人の結果を通知した。このうち11人が再検査を受けた。
会社側が指摘してミスが発覚。事業団によると、2013年にもこの会社の健診で、心電図の異常に関する緊急連絡を別人にしていた。この会社は事業団との契約を解除する方針。
事業団の奥沢信一事務局長は「起きてはならないことを起こしてしまった。原因を分析し、再発防止に努めたい」と謝罪した。事業団は15年度、検査項目別の延べ数で市町村35万7千件、職域16万6千件、学校52万4千件の健診・検査事業を受託している。(金子智彦)