リニア中央新幹線名古屋駅新設工事が進むJR名古屋駅西側=名古屋市中村区、朝日新聞社ヘリから、筋野健太撮影
リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、公正取引委員会は23日、大手ゼネコン4社と、東京地検特捜部に逮捕された鹿島、大成建設のリニア担当者計2人を、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に刑事告発し、発表した。公取委が民間発注事業の談合で、受注業者を同容疑で告発するのは初めて。特捜部は同日、4社と2人を起訴する。
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告発されたのは、法人としての大林組と鹿島、清水建設、大成建設の4社のほか、鹿島の営業担当部長大沢一郎容疑者(60)と大成建設元常務の大川孝容疑者(67)。
特捜部などによると、大沢部長、大川元常務は、大林組元副社長と清水建設元専務と共謀し談合したとされる。公取委は大林組元副社長と清水建設元専務については、会社として違反を公取委に自主申告して捜査に協力したことなどから、告発を見送ったとみられる。
公取委などによると、各社の担当者は2014年4月~15年8月ごろ、東京都内の飲食店などに集まり、JR東海が発注するリニア中央新幹線の品川、名古屋両駅の新設工事について、各社がJR側に示す工事の見積額を調整することで合意。事前に受注予定業者を決めるなど、公正な競争を妨げた疑いがある。
品川駅は清水建設の共同企業体(JV)が北工区、大林組JVが南工区を受注。名古屋駅は大成建設JVが中央工区を受注する予定だったが、その後工区が分割され、大林組JVが中央西工区を受注したという。いずれもJR東海が大手4社を中心に指名し、価格などの交渉を重ねる「指名競争見積方式」で発注された。
■《解説》民間の入札談合、前例…