高校時代に同級生2人に硫酸タリウムを飲ませ、名古屋大生時代には女性を殺害するなどしたとして、殺人未遂や殺人などの七つの罪に問われた被告の女(22)=事件当時未成年=の控訴審判決が23日、名古屋高裁であった。高橋徹裁判長は、無期懲役とした一審・名古屋地裁判決を支持し、被告の控訴を棄却した。被告はこの日、出廷しなかった。
控訴審も一審に引き続き、被告の刑事責任能力の有無が最大の争点となったが、高橋裁判長は「精神障害の影響は限定的で、最後は被告の判断で犯行に及んでおり、責任能力が認められる」と述べた。
一審は、検察側の精神科医による証言の信用性を認め、被告の発達障害と、躁(そう)とうつ状態を繰り返す双極性障害について「重度でない」と判断。被告の完全責任能力を認めて、求刑通り無期懲役を言い渡した。
控訴審では弁護側、検察側双方の精神科医が証人として出廷。弁護側は、検察側の精神科医の信用性を否定し、被告の障害は重度で「刑事責任能力は認められない」として、無罪や公訴棄却の判決を求めていたが、高裁は退けた。
判決によると、被告は高校2年生だった2012年5~7月、中学時代の同級生女性(22)と高校の同級生男性(同)に硫酸タリウムを飲ませて殺害しようとし、名古屋大学の1年生だった14年12月には名古屋市の自宅アパートで女性(当時77)を殺害するなどした。