大使公邸で初の記者会見に臨む杉山・新駐米大使=ワシントン、ランハム裕子撮影
正式に駐米大使に着任した杉山晋輔氏が28日、米ワシントンの大使公邸で記者会見を行った。4月18日に開く方向で最終調整されている日米首脳会談について、杉山氏は「この状況下では、だれが考えても北朝鮮が主要なテーマの一つになる」と述べ、両国首脳が北朝鮮情勢を中心に議論する見通しを示した。
杉山氏は、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と中国の習近平(シーチンピン)国家主席との会談について、「(2人が)何を話し合ったのか、我々は重大な関心を持って注視している」と言及。一方、中朝首脳会談が行われたのは、これまでの日米両政府による「最大限の圧力」が効果を上げていた証拠だと指摘し、「(北朝鮮には)対話のための対話では意味がない」と強調した。
一方、国際社会の関心が北朝鮮の核・ミサイル問題に集まる中、杉山氏は「日本にとって拉致問題は最重要課題。(トランプ政権に対し)この問題を忘れてはいけないと日本が言わなければならない」と述べた。
トランプ政権が発動した鉄鋼関税で日本が除外対象にならなかった問題については「極めて遺憾な措置」と指摘したうえで、「日米間の通商問題をどう解決していくか、いろんなことを考えなければならない」と述べた。
外務事務次官だった杉山氏は1月末に駐米大使に就任し、5年超の在任期間となった佐々江賢一郎氏の後任となった。杉山氏はトランプ大統領と安倍晋三首相との関係を挙げ、「いまの日米関係は最も良い時期と言って良いだろう。良好な日米関係を維持し、可能な限り強化、発展させたい」と述べた。(ワシントン=園田耕司)