身ぶりを交えながら会見するハリルホジッチ前監督=2018年4月27日午後、東京都千代田区の日本記者クラブ、関田航撮影
信頼関係の薄れを理由に解任されたハリルホジッチ氏に同情するところはある。彼を日本に誘った当時の日本サッカー協会の技術委員長はその後降格し、職を辞した。そのポストを継いだのが、現監督の西野朗氏だ。直言してくれる理解者を失い、気づけば、“裸の王様”になっていた。
監督解任のハリル氏「ジョークだと思った」 反論会見
「私のコミュニケーションに何の問題も無かった」。選手やスタッフを交えた食事会をポケットマネーで開き、昨年8月にW杯出場を決めた後には、選手やスタッフにプレゼントを贈ったと明かした。今年2月には、欧州でプレーする長谷部や川島、長友らベテラン選手に会いに行き、直接話をしたとも。だが、自らの高圧的な言動や周囲のアドバイスに耳を傾けないかたくなな姿勢によって、3年間で広がった選手たちとの間の溝が、これだけで埋まるはずはない。
会見では「会長も西野さんも、問題があるぞと一度として言ってくれなかった」と力を込めた。口に出さなくとも雰囲気で察しろ、という日本的な考え方は、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身の前監督には通じなかった。
規律に厳しく、和を乱す選手を見せしめのようにチームから外すやり方はときにあつれきを生み、フランス1部の強豪クラブやコートジボワール代表を途中解任された過去を持つハリルホジッチ氏。彼の性格を理解した上で、協会側が彼を支えることは出来なかったのか。手腕を評価しているのならば、解任という最終手段の前に、打つ手はあったと思う。(清水寿之)
ハリルホジッチ日本代表監督の戦績
◇2015年
3月27日 ○日本2―0チュニジア キリンチャレンジカップ
3月31日 ○日本5―1ウズベキスタン JALチャレンジカップ
6月11日 ○日本4―0イラク キリンチャレンジカップ
6月16日 △日本0―0シンガポール W杯2次予選(ホーム)
8月2日 ●日本1―2北朝鮮 東アジアカップ
8月5日 △日本1―1韓国 東アジアカップ
8月9日 △日本1―1中国 東アジアカップ
9月3日 ○日本3―0カンボジア W杯2次予選(ホーム)
9月8日 ○日本6―0アフガニスタン W杯2次予選(アウェー)
10月8日 ○日本3―0シリア W杯2次予選(アウェー)
10月13日 △日本1―1イラン 国際親善試合
11月12日 ○日本3―0シンガポール W杯2次予選(アウェー)
11月17日 ○日本2―0カンボジア W杯2次予選(アウェー)
◇2016年
3月24日 ○日本5―0アフガニスタン W杯2次予選(ホーム)
3月29日 ○日本5―0シリア W杯2次予選(ホーム)
6月3日 ○日本7―2ブルガリア キリンカップ
6月7日 ●日本1―2ボスニア・ヘルツェゴビナ キリンカップ
9月1日 ●日本1―2UAE W杯アジア最終予選(ホーム)
9月6日 ○日本2―0タイ W杯アジア最終予選(アウェー)
10月6日 ○日本2―1イラク W杯アジア最終予選(ホーム)
10月11日 △日本1―1豪州 W杯アジア最終予選(アウェー)
11月11日 ○日本4―0オマーン キリンチャレンジカップ
11月15日 ○日本2―1サウジアラビア W杯アジア最終予選(ホーム)
◇2017年
3月23日 ○日本2―0UAE W杯アジア最終予選(アウェー)
3月28日 ○日本4―0タイ W杯アジア最終予選(ホーム)
6月7日 △日本1―1シリア キリンチャレンジカップ
6月13日 △日本1―1イラク W杯アジア最終予選(アウェー)
8月31日 ○日本2―0豪州 W杯アジア最終予選(ホーム)
9月5日 ●日本0―1サウジアラビア W杯アジア最終予選(アウェー)
10月6日 ○日本2―1ニュージーランド キリンチャレンジカップ
10月10日 △日本3―3ハイチ キリンチャレンジカップ
11月10日 ●日本1―3ブラジル 国際親善試合
11月14日 ●日本0―1ベルギー 国際親善試合
12月9日 ○日本1―0北朝鮮 東アジアE―1選手権
12月12日 ○日本2―1中国 東アジアE―1選手権
12月16日 ●日本1―4韓国 東アジアE―1選手権
◇2018年
3月23日 △日本1―1マリ 国際親善試合
3月27日 ●日本1―2ウクライナ キリンチャレンジカップ
〈通算〉21勝8敗9分け 勝率55・3%