ガーナ戦のメンバー発表の記者会見に臨む日本代表の西野朗監督(手前)。後方は日本サッカー協会の田嶋幸三会長=2018年5月18日午後、東京都港区、関田航撮影
ワールドカップ(W杯)本大会を目前にして、監督交代に踏み切った日本代表。そこに、「新風」を求めたファンは少なくない。なのに、西野朗監督が選んだW杯のメンバー候補27人には、驚きや新鮮味がなかった。
本田・香川ら27人、ガーナ戦に選出 サッカー日本代表
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衰えの目立つ本田、香川、岡崎の「ビッグ3」も選ばれた。ハリルホジッチ前監督の下で出場機会を失っていたベテラン勢が復調する望みも捨てきれなかった。「期待」「確認」「チェック」。西野監督が発する言葉の端々からは、短期間でチームを再建せねばならない苦渋が透けて見えた。
面白みを欠くメンバー構成でも、W杯で勝つための「絵」が具体的に描けているのならば、それでいい。だが、西野監督はGK以外のポジションは「白紙」だと強調した。裏をかえせば、1カ月後の本番で、どう戦うかイメージできていないということ。実戦感覚に乏しい香川を呼ぶ一方、「ポリバレント(複数のポジションを出来る選手)ではない」という理由で、ポルトガル1部で2桁得点した23歳の中島を外すなど理解に苦しむ部分もあった。
J1首位の広島からMF青山が久しぶりに呼ばれたが、それも迷いの表れの一端ではなかろうか。招集メンバー27人の内訳は、GK3人、DF8人、MF12人、FW4人。中盤に複数のポジションをこなせる選手を多く集めたあたりに、布陣の「心臓部」をどう固めるか決断しきれていない印象を受ける。
登録23人の発表は5月31日。「分析すべき要素がたくさんある」という指揮官は、メンバー選考という「孤独な作業」(田嶋幸三会長)に、ひたすら向き合う日を過ごす。(富山正浩)